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【資料】【旧枠モダン】メタゲームまとめ ~ゴブリン革命~

(本記事は狐の社・二社目閉鎖に伴い消滅してしまう記事を、管理人の許諾を得て全文を転載したものです。)

 

神は言われた。「ゴブリンあれ」。

こうして、ゴブリンがあった。

――創世記 1章

 

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 前回、GP秋葉原において新進気鋭の《ゴブリンの戦長》を擁する赤単ゴブリンが優勝し、更に《罠の橋》《物語の円》系コントロールが歴史の表舞台に姿を現した。

 

旧枠モダンのメタゲームはこの大会によって成立したと言ってもいい。

所謂、“ゴブリン革命”と呼ばれる出来事だ。プレイヤーたちはカジュアルフォーマットなりに勝つために真剣にデッキを構築していたが、それはあくまで情報がほぼ0に等しい所からできたものであって、ただ無垢に最強を目指した結果に過ぎない。この“ゴブリン革命”を通してプレイヤーの中でトップメタが確立され、仮想敵が生まれ、それを前提としてデッキが構築されるようになるわけだ。

 

ここではざっくりと、本当にざっくりとだが旧枠モダンのメタゲームを解説していきたい。

 

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 前大会で優勝を掻っ攫った赤単ゴブリンが最強のデッキ(プレイヤーの人数が少なすぎるのでTier1とは言いたくはないが…)と仮定しよう。では、ゴブリンに勝つにはどうすればいいのだろうか。

 

ゴブリンは前大会の時点で対策される事を想定した上でデッキを構築している。すっかり主流となった《モグの歩哨》や《モグの下働き》、そして1枚挿しの《ペンデルヘイヴン》は《弧状の稲妻》《紅蓮地獄》《雹の嵐》といった生半可な対策カードを乗り越える事ができる。

 

実際に対峙してみると、「成程、メタられた上でそれを掻い潜って勝ってきたんだな」という事が分かる陣容だ。勿論どれも《稲妻》には無力だが、貴重な1マナ3点を《モグの歩哨》に撃ちたくはない。処理すべきロードが後から次々と出てくる可能性があるのだから。そうして温存した結果、《ゴブリンの戦長》の速攻アタックを止めるために《稲妻》を撃ったが《モグの歩哨》が強化されてしまい結局打点が変わらなかった、という事もある。非常に厄介だ。

 

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1ターン目からクリーチャーを展開し、8枚のロードでバックアップし、環境最強火力も擁しており、更に対策カードまで対策しているゴブリンではあるが、結論から言ってしまえば、それを倒す方法は古来言い伝えられる赤殺しのやり方とさして代わり映えはしなかった。

すなわち、ライフゲインとタフネス4のブロッカーである。

 

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 《堅牢な防衛隊》の強さが知れ渡った点も、旧枠モダンにおける技術革命の一つだと言えよう。《セラの天使》も出されれば厄介だが、ゴブリンがトップメタであることを考えると4ゲインがついてくる《堅牢な防衛隊》に理があると言える。

白いデッキの新たなスタンダードが確立された瞬間である。

 

旧枠モダンにおける数少ないサイクリング持ちである《新たな信仰》は腐りにくく、デッキに投入しやすい点が評価されている。筆者もまさか旧枠モダンがメインから12ゲインされるフォーマットだとは思っていなかった。

 

ゴブリンを倒すために速度を一段階落として除去とバリューの高いクリーチャーで抑える中速デッキが流行ると、今度はそれを食いに行くデッキが流行るのは必然と言えよう。

速度が遅くなれば、前回のグランプリで頭角を顕したようなコントロールデッキが長期戦を仕掛けてくる。どれだけライフを整え、大きいクリーチャーを並べても《罠の橋》と十分なマナが出そろった後の《物語の円》《聖なるメサ》には無力であり、攻撃の手を緩めれば真綿で首を締められるようなゆっくりとした死が待っている。

 

個人的には置物対策としてメインから《エルフの抒情詩人》《エルフの潰し屋》《荊景学院の戦闘魔道士》を採用できるエルフにチャンスが回ってきたのではないかと思っているがそれが正しいか否かはまだ分からない。

 

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 極端に遅いデッキに対して、ゴブリンやバーンは《魔力のとげ》で更に対策できるものの、ミッドレンジ帯のデッキでは1枚1枚エンチャント破壊を合わせるしか対抗策が存在しないのも厳しい点だ。《帰化》や《解呪》を枚数入れたいがデッキの地力が落ちてしまう。対応したいカードがアーティファクトとエンチャントと分かれている点も対策のしにくさに拍車をかけている。カードとしては強いのだが、《天啓の光》などは範囲が狭いのが厳しい所だろう。

 

長期戦まで考えると《道化の帽子》などの滅茶苦茶なアンチカードが増えてくるのも問題だ。言ってしまえば「ミッドレンジという言葉が存在しない頃のカードでミッドレンジをしている」わけなのだから、逆風は仕方のないことだが…。

 

何にせよこの辺りから旧枠モダンというフォーマットがわけがわからなくなってくる。

 

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▲この辺りのカードを見ていると何が正しいサイドか分からず頭痛がしてくるのは筆者だけだろうか?

 

また、最近はランデス戦術もそうした中速以降のデッキに対して有効なプランだと評価されている。《石の雨》《なだれ乗り》《破砕》を擁する赤に、《涙の雨》《汚れ》の黒か《忍び寄るカビ》と《すき込み》がある緑を加えるのがいいだろう。

 

土地破壊をメインの戦術にしないデッキでも、《なだれ乗り》は強いだろうし、《忍び寄るカビ》《汚れ》はギリギリ採用圏内な空気がある。やはり今こそ《なだれ乗り》なのではないか?という議論も研究チーム内で起きたほどで、実際に《なだれ乗り》を《蘇生》と《永劫の輪廻》で使い回すデッキも現れ始めた。

 

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前大会の決勝戦でゴブリンと鎬を削った赤青のアネックス・ワイルドファイアも良い選択だと言えるだろう。いまいちカードが弱いと言われ続けていた青にもここでチャンスが生まれてくるわけだ。

 

だが、ランデスに向かっていくとまたしても「ゴブリンきつくね?」という課題が生まれる。コントロールランデスを狙う速度帯でメタゲームが一周する…かと思いきや実際は各色に大量の対策カードがあるため本質的にはここで一周していてもカード選択で有利不利が絶妙に変わったりともう滅茶苦茶なのである。

 

ここでもっともらしくメタゲームがどうだの有利不利がどうだのと話していても第1回GP秋葉原に参加した全員が次のGPT(ただの店舗大会)にはデッキを変更しており、新規も含めて既に16デッキ全てが別物であることが確認されている。実は我々は架空のゴブリンや架空の罠の橋と戦っていただけだったのか?という猜疑心に満ちた発言も散見され、第2回GP秋葉原本戦を前に情報が恐ろしいほどに錯綜している事が分かる。

 

ここで紹介したメタゲームも結局のところ流れの大筋をかいつまんで解説しただけであって、「罠の橋で詰まないバーンはどうだ」とか「メガハンデスは白いコントロールに有利取れる」だとか「《堅牢な防衛隊》を4積みしたら普通のデッキに普通にパワー負けした」だとか様々な言説と試行錯誤の痕がある事も追記しておこう。

もはや何が正しいか誰も分からない、さながら迷宮の様相である。

 

ちなみにランデスが環境を席捲しないように《聖なる場》というセーフティも存在していたりする。なんなんだこのフォーマット。

 

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 …というわけで、研究のしがいがあり過ぎて何も分からないフォーマットという雰囲気だが、GP秋葉原を通して全プレイヤーの中で共有された事実もある。

 

このフォーマットで強い色は赤と白の二色であるというものだ。

赤と白。この2色がとにかく強い。プレイアブルなカードが多いのは勿論、《稲妻》や《神の怒り》などの飛びぬけたパワーを持ったカードが複数あり、そのうえで白はサイドカードの殺意が半端ではない。赤は赤で一部のアグロ用パーツや火力が凄まじい威力を誇っている。

現状、赤と白を入れないでトーナメントレベルに達しているデッキはそう多くはない。単色デッキでもどちらかをタッチしてサイドボードを補強すべきと言われている。

 

もしかしたら、ここに環境を読み解く鍵があるのかもしれない。

 

第2回GP旧枠モダンまで1ヶ月を切ったが、ベテランプレイヤーを含め誰もが「旧枠モダンよくわかんねぇ…」と呟いているのが現状だ。最初の大会によってメタゲームが確立されたかと思いきやそれが更に新たな混乱と迷走を生んでいる感もあり、このフォーマットの奥深さを感じざるを得ない。

 

 

そんな奥深いフォーマット、旧枠モダンの次の大会は7/1の日曜日だ!

初心者も歓迎。旧枠モダン歴2年のベテランプレイヤーが優しく教えてくれるぞ。

この記事や、前回前々回の旧枠モダン記事で興味を持った新規プレイヤーは是非とも秋葉原に集まってほしい。一緒に旧枠モダンの奥深さを体感しよう!

 

twipla.jp

(元記事掲載日時:2018/06/12)