Ideal Idolはてな支部

旧枠モダンを語る。旧→http://mesmericmask.diarynote.jp/ 欲しいものリストhttps://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/2FNE62OF99FHJ?ref_=wl_share

ヒュージリーダーズ体験記とオススメカード

お久しぶりです。

やりたいと主張し続けて早8ヶ月。ついにヒュージリーダーズを4人でプレイすることができました!!

ヒュージリーダーズまだ知らない方は下記のリンクを参照してください。

y-tsukinari.hatenadiary.jp

y-tsukinari.hatenadiary.jp

 

今回プレイするのはもちろん変更後のルールです。

ちなみにプレイヤーの持ち寄った荒地はすべてコジレック仕様でした(現地で追加購入したものはウラモグ仕様)。

 

では早速、プレイ中のテーブルを撮影してもらった写真をご覧頂きましょう。

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統率者

・大渦の放浪者

・覇者シャルム

・雪花石を率いる者、ブルーナ

・ウィル・ケンリス&ローアン・ケンリス

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 それでは個別に見ていきましょう!

 

・大渦の放浪者

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本家EDHでも悪名高い人気ジェネラルですね。

本家同様に追加ターンとリセットによる圧殺系ジェネラルですが、その凶悪さは健在です。

ただし、ヒュージリーダーズには軽量のマナ加速がないため他のプレイヤーの妨害に付き合う必要があり、かつライブラリーの操作も限られているため本家のような速度はありません。

土地への妨害に特化し、変異や待機によって早い段階から仕掛けた優位を固定する構成になっていました。

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・覇者シャルム

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どことなくコンボ臭のするジェネラルですが、怪しげなカードは軒並みマナコストが小さいために単なる釣竿です。

なぜか使えてしまうBazaar of BaghdadやMishra's Workshop、ヒュージリーダーズのために生まれた釣竿の掘葬の儀式をうまく使えるジェネラルでしょう。

サイクリング持ち生物を墓地に落としての生ける屍を必殺技としています。

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・雪花石を率いる者、ブルーナ

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これも本家でお馴染みのジェネラルですね。

小回りの利く除去が少ないため、ターンが回ってきたら~系のクリーチャーが活きやすい環境だと思います。

本家同様の暴力的なオーラが使えます。

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・ウィル・ケンリス&ローアン・ケンリス

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2枚セットでワンコインになってしまったストーリー無し野郎です。

クリーチャーと土地に対するリセットを詰め込んだPWコントロールというヤツです。

本家と違い、燎原の火で流れないサイズのクリーチャーが大半なので若干怪しいか・・・?

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と、いった感じの卓でした。

結果はウィル&ローアンがプレイしたPWデッキの嵐を呼ぶ者、ラルを押収で奪い取った放浪者がなんやかんやでそのまま勝ちました。

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1000000000枚買え

今回強いなと思ったカードを紹介します。

・2マナランド

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墳墓はもちろん、枯渇、サクリファイスも強かったです。

リセットマンが2人いたことも大いに影響がありますが、土地が定着しなかったのでデメリットもさほど気にならず、といった具合です。

とにかく5マナまで到達することが重要なので、もしかしたら雲帯岳もプレイアブルなのかもしれません。

反面、マナの止まるBazaar of Baghdadは強いけど使いづらいかな、と思いました。ちなみにMishra's Workshopはまんま強いです。

 

・破壊不能土地、溺墓の寺院

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リセットに巻き込まれない土地は安心感があります。

大瀑布は荒地を並べた後の色事故を解決してくれ、溺墓の寺院は荒地セットによるナチュラルディスカードをマナ加速に変えることができます。

荒地が増えてもなぁという感じで城砦は懐疑的でしたが、破壊不能は偉かったです。

なお、後述のゴミには無力。

 

・隔離

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バウンスってなんだよ

 

・ケルドの火弾兵

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3にするな

 

以上です。

分割カードが割と自由に使えたり、強いカードに対して「4マナになれ」という暴言が飛び出すなど、他にはない独自の視点がありデッキ構築がとても楽しかったです。

タイムワープは事前の評判どおり撃ち得(探検でもう強い)でした。

ヒュージリーダーズガチ勢の皆様は、誤った指図されない荊州占拠も買いましょう。

案外楽しかったので、そのうち買いそうです(小声)

【資料】【旧枠モダン】Deck Tech 緑単ストンピィ

(本記事は狐の社・二社目閉鎖に伴い消滅してしまう記事を、管理人の許諾を得て全文を転載したものです。)

サムネ:皇帝クロコダイル

 

数々の激戦を制し、第2回GP秋葉原の優勝者となったのは紙袋氏(@kaeruyuma)の緑単ストンピィだった。マナレシオの高いクリーチャーを展開し、オーラとパンプアップ呪文で補佐しながら直線的に突き進み、対戦相手を蹂躙する。そんなデッキである。

 

新たなアーキタイプの登場に沸き立つ旧枠モダン界。GP秋葉原に行くことができなかったプレイヤーと、これから旧枠モダンを始めようというプレイヤーのためにも、この場で“Deck tech”の名を借りて新たなデッキを紹介するとしよう。

 

紙袋の「緑単ストンピィ」 / 2018/7/1 第2回GP秋葉原 優勝

土地 24

4 《樹上の村/Treetop Village》

20 《森/Forest》

 

クリーチャー 20

4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》

4 《エルフの戦士/Elvish Warrior》

4 《リバー・ボア/River Boa

4 《狩りをする恐鳥/Hunting Moa》

4 《皇帝クロコダイル/Emperor Crocodile》

 

スペル 8

4 《巨大化/Giant Growth

4 《獣群の呼び声/Call of the Herd》

 

エンチャント 8

4 《怨恨/Rancor》

4 《ブランチウッドの鎧/Blanchwood Armor》

 

サイドボード

4 《濃霧/Fog》

4 《疾風のデルヴィッシュ/Whirling Dervish》

3 《帰化/Naturalize》

2 《樫の力/Might of Oaks》

2 《ロウクス/Rhox》

 

 

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▲美しいリストである。

 

以下、デッキ製作者である紙袋氏へのインタビューを交えてこのデッキを解説していく。

 

――「では、インタビューを始めさせていただきます。まずは、優勝おめでとうございます。どういった経緯でこのデッキができたかを教えていただけますか?」

 

紙袋「ありがとうございます! このデッキを作ったきっかけは、まず緑を使いたいと思ったからですね」

 

――「緑を使いたい…。それは、メタ的な意味でしょうか?」

 

紙袋「いいえ、好みです!

 

――「好みですか…。いやまぁ、このフォーマットはそういう側面がありますからね」

 

紙袋「ええ、《皇帝クロコダイル》が凄く好きなんですよね。あと《ブランチウッドの鎧》ですね。これが使いたくて緑単に絞りたかったんです。それで200枚くらいの緑のカードプールを一通り見てみると、カードパワーのすごく高いカードが混ざってるんですね」

 

――「《獣群の呼び声》ですか?」

 

紙袋「そうですね。お察しの通り《獣群の呼び声》です。それと、《怨恨》に《狩りをする恐鳥》あたりですね。その辺りからデッキ作りが始まりました。特に《獣群の呼び声》は明らかに強いんで、使われる前提でデッキを考えていましたね」

 

――「《狩りをする恐鳥》は珍しいカードですよね。初めて見ました」

 

紙袋「そうみたいですね。対戦相手にも驚かれました。これが本当に強いんですよ。2ターン目の《エルフの戦士》から繋げるだけで3/4になって象トークンに止められずに殴れるようになりますし、恐鳥単体でも相手は相討ちしたくないから攻撃の手が止まるんですよね」

 

――「そう聞くと相当強そうですね…」

 

補足をすると、旧枠モダンでは2マナのクリーチャーが弱いというのはしばしば話題になっていた。これには《獣群の呼び声》を始めとした3/3に止められてしまうという理由がある。そのため、緑は1ターン目にマナクリーチャー、2ターン目に《獣群の呼び声》というテンプレートが確立しており、2マナ域のクリーチャーは軽視されがちな風潮があった。

ここで《狩りをする恐鳥》が光る、というわけだ。

 

旧枠モダンはカードプールが狭く、カード評価も単体でのパワーに引っ張られがちだ。しかし紙袋氏だけでなく準優勝の白単も《栄光の頌歌》を貼ることで《白騎士》と《ヴェクの聖騎士》を、一方的に3/3を倒せるサイズにまで引き上げる構築をしており、勝者はカード単体の強さだけでなくシナジーを意識してデッキ構築をしている事が分かる一幕だ。

 

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▲採用率の低いカードたちだが、このデッキでは主役級の活躍を見せていた。

 

――「他に、これは強い! と思ったカードはありましたか?

 

紙袋「だいたいはここまでに名前を挙げたカードですけど…。《ブランチウッドの鎧》は見込み通り強かったですね。1枚で+4/+4とか+5/+5とか上がるのは壊れてます。変に色を足すよりもよほど強いと思いますよ。《怨恨》でトランプルもつけられますしね。《皇帝クロコダイル》もサイズ大きくて活躍してくれましたし」

 

――「これぞ緑単、といったサイズ感ですよね」

 

紙袋「《樹上の村》も凄く強かったですね。場が流されてからこれだけで殴り切れるゲームもありました」

 

――「なるほど、デッキの出来自体には満足しているということですかね」

 

紙袋「いやー…改善点もかなり多かったですよ」

 

――「そういえば、紙袋さんは旧枠モダンの大会は初めてでしたね。では、初の実戦を通して評価が変わったカード…弱かったと思ったカードや、改善点についても思い当たるところを教えていただけますか?」

 

紙袋「メインボードだと、《リバー・ボア》が酷かったですね。青いデッキが少なすぎて渡れないですし、《モグの狂信者》《渋面の溶岩使い》で焼かれるのが弱すぎました。再生マナを一々残しておくわけにはいきませんから」

 

――「ああー…《リバー・ボア》が弱いという話はよく聞きますね…。確かに2点までのダメージで焼かれるのはそれと《ラノワールのエルフ》だけですし、弱さが際立ちそうです。他の2マナだと候補は何があるんですか?」

 

紙袋「対戦相手の方に教えてもらったんですけど、《梢の蜘蛛》がめっちゃ強そうなんで、すぐにでもそれに入れ替えようと思います。マスターピースですよ。これでこのデッキはもっと強くなりますよ」

 

――「めっちゃ強そう!(大声)」

 

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▲飛行を止められ、恐鳥を合わせれば一瞬で《稲妻》圏外のタフネス4になれるのは強そうだ。

 

紙袋「それと、サイドボードですね。メタが分かってなかったのもあって要らないカードが多すぎました。改善点だらけです。《疾風のデルヴィッシュ》とか。黒単がいなくて赤黒が多かったんで、サイドインできなかったですね、《リバー・ボア》と同じような理由で全然使えませんでした」

 

――「赤黒相手だと《狩りをする恐鳥》で強化してもなお弱そうですしね」

 

紙袋「そうですね。あと《濃霧》は《雹の嵐》にすべきだったと思いますし、《ロウクス》は《年経たシルバーバック》の方が強そうですね。《樹上の村》を使ったりしていると再生のためのマナを残すのがきつ過ぎるので、1マナで構えられる方がいいですね。…あ、《苔の怪物》でもよかったかもしれません」

 

――「こ、《苔の怪物》? すみません、能力を教えていただいても…?」

 

紙袋「いや、ただの5マナ3/6バニラなんですけどね。タフネス6があまりに硬すぎるんですよね。どうせ《怨恨》つけて殴るんで、タフネスが高い方がありがたいんです」

 

――「今日同じく3/6の《オームズ=バイ=ゴアの邪眼》が硬すぎるという話題も出てましたしね。このくらいのサイズだとコンバットで討ち取れるカードは殆どいないようなものですね」

 

紙袋「ですね。3/6はこのフォーマットにおいて最強に限りなく近いサイズだと思ってます。それと、《帰化》は4でした。《物語の円》《拷問台》《最下層民》…噂には聞いてましたけど本当に置物が強いですね。割りたいものだらけだったんで次は4にします。飛行触れないんで《ハリケーン》とか《翼わな》も候補ですかねー。ハリケーンはワンチャン本体火力にもなりますし」

 

――「これ延々とサイドボードの話をすることになってしまいそうですね。長くなりそうなので割愛しつつ掲載させていただきますね」

 

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▲紙袋氏は旧枠モダン大会初参加という事もあり、学びが多かったようだ。

 

――「では、試合について振り返りつつデッキの強みを教えていただいてもよろしいですか?

 

紙袋「はい。やはり完全なメタ外だったのが大きかったとは思います。1戦目の1ゲーム目では相手が緑単エルフとアーキタイプを間違えてくれたおかげで《稲妻》の使いどころを間違えてくれて押し切れましたし」

 

――「《ラノワールのエルフ》《エルフの戦士》だけ見たら間違えそうですよね」

 

紙袋「本戦まで誰にもデッキの内容を見せていませんでしたから。誰も意識してなかったんですよね。簡単に《ブランチウッドの鎧》や《怨恨》をつけられて、《巨大化》での除去避けもすごくやりやすかったです。この辺が通っちゃうとだいたい押し切れますね。ただ殴ってるだけで勝てます」

 

――「こう見るとオーラが多いですよね。黒系のデッキは厳しいんじゃないですか?」

 

紙袋「《巨大化》で避けられない除去は全部嫌ですね…。盤面を更地にされてから立て直す手段がないんで《恐怖》《終止》《ネクラタル》なんか連打されると目も当てられない事になりますから、会場に黒が少なかったのはありがたかったです。唯一当たった黒はメガハンデスだったんでどうにかなりました」

 

――「アドバンテージ回復手段もないですしね」

 

紙袋「ですね。黒が増えるようならサイドに《繁殖力》もありかもしれませんね」

 

――「また話がもとに戻ってしまいそうですね。最後の白単相手はどうでした?申し訳ないのですが、相性的にかなり厳しいと思っていました」

 

紙袋「相手が事故ってくれたんで助かりました。正直詰む要素だらけですし辛いマッチアップだと思います。ゴブリン、ドメイン、メガハンデスと良い当たりはしていたんですけど、白単だけは明確に不利ですね」

 

――「事故った相手をそのまま轢き殺せるパワーはありそうですよね。生半可なデッキだと《ヴェクの聖騎士》に止められている間に《最下層民》引かれて負けた~なんてことがありますが…」

 

紙袋「パワーはありますよ!相手のライフを削る速度が本当に速いんで、ブン回りか相手の事故のどっちかが起きた時に有無を言わさずゲームを取りにいけるのが強いです」

 

――「緑単といえば!みたいな所はありますよね」

 

 

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▲こういう事が起こるリスクを跳ね除けて優勝できるほどのパワーがある。

 

紙袋「デッキについてはだいたいこんな感じですね」

 

――「貴重なお話、ありがとうございます。ついでと言ってはなんですが、旧枠モダンの魅力についても語っていただいてよろしいですか?

 

紙袋「もちろんいいですよ!やっていて思ったのは、アーキタイプが本当に多いな、と。カードプール自体は狭いんですけど、カードパワーが平坦なんで、プレイアブルなカードが多い印象でした。かなり幅広く好きなデッキが組めるんじゃないでしょうか」

 

――「補足しますと、本日16人参加でアーキタイプは13種類です」

 

紙袋「非公式のフォーマットだから…というのはあると思うんですけど、それでもこれだけ多様なデッキがあるのは凄いことですよ。カードも絶妙に懐かしさを感じるものが多くていいですよね。8版9版辺りの頃のプレイヤーは胸に来るものがありますよ。自分も思い出の《皇帝クロコダイル》で好き勝手やってるわけですからね」

 

――「思い出のカードが使える!しかも一線級で!というのはこのフォーマットの重要なポイントですね。是非当時を思い出しながらプレイしていただきたいものです」

 

紙袋「それが大抵古いカードなのも重要ですよね。全部が全部再録済みで、そのうちの多くが今は使われていないカードですから、安いんですよ。本当に安い。それでいてバランスが崩壊しているわけでもなくゲームができるから凄いですよね」

 

――「懐かしい!安い!楽しい!ですね。今度からこれをスローガンにしましょうか?…では長くなってしまいましたが、最後に一言コメントをいただいてこのインタビューを終わりにしたいと思います。優勝者、紙袋さん。一言どうぞ!」

 

紙袋「《皇帝クロコダイル》をよろしくお願いします!!!!!!

 

 

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 (元記事掲載日時:2018/07/14)

【資料】2018/7/1 第2回GP秋葉原(旧枠モダン)メタゲームブレイクダウン

(本記事は狐の社・二社目閉鎖に伴い消滅してしまう記事を、管理人の許諾を得て全文を転載したものです。)

 

2018年4月15日のGP旧枠モダンは成功、いや、大成功と言ってもいい盛り上がりであった。数少ないながらも全てのプレイヤーが最強を目指して戦いを繰り広げた。その白熱した試合や奇々怪々なメタゲームは主にTwitterを通して拡散され、ある事ない事を話題にされつつも、旧枠モダンはマジック界隈と言う水面に投げられた小石のように新たな波紋を生み出す事となったのだった。

 

そして、GP秋葉原から3ヶ月後の2018年7月1日。

前大会の成功を受けて、第2回GP秋葉原が開催された。

参加人数は驚愕の16人。関西から遠征に来たプレイヤーもいた。旧枠モダンは少しずつ、確実に広がりを見せている。筆者は確信していた。

 

今こそが旧枠モダンの躍進の時。旧枠モダン黄金時代なのだと――

 

今回も開拓者たちが調整した数々のデッキを分析していこう。

まずはグラフをご覧あれ!

 

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前回のメタゲームブレイクダウンでは“虚無のグラフ”“情報がない”と話題になったものだが、今回のグラフはしっかりと!余すことなく!情報を内包している!

今回もアーキタイプごとに分類していき、数々のデッキを紹介していく。

前回から続投されているデッキ群はどうしても手短になってしまうので、興味があれば過去記事も参考にしてみてほしい。

 

old-flame-modern.hatenablog.jp


▲“虚無のグラフ”はここで見れるぞ!

 

 

・アグロデッキ

 

アグロデッキの中でも、この環境を定義していると言っても過言ではないアーキタイプ、前大会の覇者“ゴブリン”はこの記事の先陣を切るに相応しいスターデッキだ。使用者は2名。トップ8進出率は50%と、この小さなフォーマットの中で名実ともにトップメタに至った最初のデッキという事になる。

 

今回は激化するエンチャント戦術に待ったをかけるためにタッチ緑で《帰化》を投入している型と、《ゴブリンの手投げ弾》を3枚に増量し更に尖らせる事でキルターンを早めた型の二種類が存在していたようだ。

ゴブリンをメタったつもりでいる多色デッキを踏み潰す為に《血染めの月》をメイン投入し、《ゴブリンの王》の山渡りで総攻撃をかけられるようにする等の細かなチューンの余地がある点が魅力の一つであるゴブリンだが、今回も彼らの適応力を存分に見せてくれそうだ。

 

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古参、歴戦といった印象の“ゴブリン”とは対照的に、今大会2人目の単色アグロデッキは中々見られる事のない特徴的なカードを数多く揃えた“緑単ストンピィ”だ。

こちらはDeck Techの方で優勝者のインタビューを交えて紹介させてもらう。

 

こうした単色デッキの他にも"アグロドメイン"の形態をとるデッキも存在した。3点火力に耐性を持ち、象トークンを止め、飛行で安定してダメージを与えられる《稲妻の天使》は旧枠モダンにおけるエース級クリーチャーだ。「どうにかして彼女を使いたい!」というデッキはこれまでもしばしば登場している。

《稲妻》と《部族の炎》、《心霊破》でバーンめいた勢いで相手のライフを削り、《獣群の呼び声》《秘教の処罰者》まで採用した環境最強の全部載せデッキを試してみるのも良いだろう。

 

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・ミッドレンジデッキ

 

環境の除去にはスタンダードというものがある。環境に蔓延っている除去がまず何かを推測し、それに耐性があるか否かでクリーチャーの除去耐性というものは決まるのだ。事前のリサーチでは除去がかなり《稲妻》に偏っている事が予想されていた。そして、《稲妻》で処理されにくいクリーチャーを軸にしたデッキが登場したのだ。

 

“黒緑ハスク”は《ナントゥーコの鞘虫》をキーカードとした中速デッキであり、《怨恨》と《センギアの従臣》を用いたハードパンチや《繁殖力》でのアドバンテージ勝負で勝ちに行くアーキタイプである。

 

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▲旧枠モダンにしては珍しい、完璧なシナジーである。

 

このデッキの作者が読めていなかったのは想像以上に環境がビートダウンに対して厳しかった点だろう。壊滅的に相性が悪い、とあるデッキが存在していたのだ。

 

“白単ミッドレンジ”である。

やはり今大会にも現れた白単デッキは、前回のアーティファクトシナジーを重視した型とは大きく異なる様相であった。《栄光の頌歌》の加護を受けた《白騎士》と《ヴェクの聖騎士》で殆どのクリーチャーが止まるという、シンプルながらも環境の穴を的確に衝いた戦略。そして、白単に纏める事で《物語の円》と《最下層民》《聖なるメサ》といった問答無用で詰みに持ち込める白のエンチャントを無理なく投入できる構築だ。《オーラ術士》でそれらを再利用する小技も見逃せない。

 

白単ミッドレンジは決勝戦で惜しくも事故で敗れたものの、緑単に対しては相性が非常に良いデッキでもあった。《革命家チョー=マノ》と《最下層民》のインパクトあるコンボも決めており、やはり旧枠モダンを定義する色は白だと再認識せざるを得ない。

 

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▲様々な“詰みポイント” これらすべてに対処可能なビートダウンなど存在しない。

 

《稲妻》と《獣群の呼び声》に対して耐性を持つ3/4以上のクリーチャーが環境的に強いという点はこれまでも度々議論の的となっていた。しかしながら、実用に耐えるレベルの3/4あるいは4/4のクリーチャーは数少ない。学者間では暫定的に3/3を完全に止められる《堅牢な防衛隊》ライン、それを一方的に倒せる4/4の《セラの天使》ライン、それを更に一方的に倒せる《皇帝クロコダイル》ラインとして環境を語る上では欠かせないP/Tのラインとされていたものだ。

 

コストの低いクリーチャーでこれらのラインを越える為に《栄光の頌歌》を選択した点は慧眼と言わざるを得ない。現代プレイヤーは想像がつきにくいかもしれないが、プロテクション黒や赤のついた3/3先制攻撃が横に並ぶのは想像以上に強固――というよりは理不尽さすらある布陣となる。

 

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▲一度体験してみれば分かる地上の止まりっぷりである。

 

 

・コントロールデッキ

 

非常にベーシックなコントロールデッキである“青白コントロールは《雲散霧消》や《中略》といったカウンターと《神の怒り》や《今わの際》のような除去を数多く採用し、《怒りの天使アクローマ》《聖なるメサ》をフィニッシャーに選抜している。サイドには《テフェリーの濠》などが取れる点がポイントだ。

 

ビートダウンに対して厳しいメタゲームが形成されている今、除去を始めとした多くのカードを腐らせることができる上に、数枚のキーカードに頼って構築されているデッキもあるため、青いコントロールは有効な選択だったと言えるだろう。

青いカードは弱いと評されがちだが、ドローとカウンターはその限りではない。遅いデッキが増えた今、青にもチャンスが巡ってきたという所だろうか。

ただし、前のめりなアグロには弱いようだ。仕方のない事だが。

 

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▲イマイチ採用率が低かったこの辺りもようやく息を吹き返したか。

 

同じく青白コントロールを選択したプレイヤーはもう一人いた。しかし、その内容は一般的なものとは大きく異なり、とあるコンボを加える事で差別化を行っていた。

《安らぎ》+《ズアーの運命支配》+《ゴブリンの太守スクイー》である。

 

“ズアーの運命支配”は、MTGwikiには「第8版で再録された時はフラッシュバックの存在があり完全なロックをかける事ができなかった」と記述されているが、旧枠モダンのフラッシュバックスペルは《獣群の呼び声》と《天啓の光》しか存在せず、《天啓の光》の採用率は低い。このデッキにとっては追い風と言えるだろう。

 

《安らぎ》のポテンシャルについては研究チームも把握していた。現代マジックと違い打点が低い事から、3ゲインが非常に重いのだ。《安らぎ》と《ゴブリンの太守スクイー》で半永久的にライフを回復し、クリーチャーが並んできたら《神の怒り》で流す。そして然るべきタイミングで《ズアーの運命支配》でロックをかけるのである。

 

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やはり《ゴブリンの太守スクイー》はコンボのお供だ。スクイーと言えばあのデッキは外せない。旧枠モダンにおける“元祖”スクイーデッキとも言えるナヤカラー“スクイーバインド”も今大会に引き続き参戦していた。

 

構築に大きな変化はないものの、《癇しゃく》と《渋面の溶岩使い》を携えて、対ビートダウンを更に強化してきた形である。

しかし、ここまででやり過ぎなほどの対アグロ戦略を見てきたが、やはり人は架空のアグロに踊らされているのではないだろうか…。

 

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いやいや、旧枠モダンはそれだけではない。ここで対コントロールを強く意識したとあるデッキを紹介しよう。“赤黒メガハンデスである。

 

《強迫》《葬送の魔除け》《荷降ろし》《呆然》と言った大量のハンデスを投入。相手の手札を速やかに空にする。フィニッシャーは言わずと知れた《拷問台》だ。《拷問台》は《物語の円》にも《神の怒り》にも、はたまた《罠の橋》にも邪魔されないフィニッシャーであり、白に有利を取れる絶妙な選択なのは間違いない。サイドに2枚投入された《野火》が白単に対するスタンスを象徴しており、何を意識したかが一目で分かるほどの憎悪が横溢している。

 

残念ながら旧枠モダンに《金切り声の苦悶》は無いので8Rackとは呼べないが、すさまじい優良スタッツを持ったクリーチャー(しかもほぼブロック不可能といってもいい)《オームズ=バイ=ゴアの邪眼》がフィニッシャーの片割れを務めている。

 

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▲3/6というスタッツに注目。硬すぎる。邪眼を越えられるクリーチャーはそういない。

 

同じ赤黒というカラーリングでは、やはり除去コンも存在していた。旧枠モダン屈指のパワーカードを使わない手は無い!と言った所だろうか。《稲妻》《終止》《ネクラタル》《虚空》といった良質な除去に《なだれ乗り》《包囲攻撃の司令官》を添え、そういったクリーチャーを《グレイブディガー》で回収するギミックも投入されている。

 

系譜としては前大会のジャンドミッドレンジ寄りの構成だが、赤黒に纏め、除去を増やし、マナクリーチャーの代わりに《精神石》などを投入する事でミッドレンジというよりも“赤黒コントロールとして後ろに寄った形の構築となっている。

 

筆者はやはり《包囲攻撃の司令官》は強い! と感じた。

メタゲームや環境に対する解答や新しいコンボやシナジーをこねくり回すのも間違いではないが、《獣群の呼び声》は強い! 《包囲攻撃の司令官》は強い! と言った初心を忘れない構築も大切なのではないだろうか。

 

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随分と長くなってしまったコントロール解説もようやく終わりを迎えようとしている。最後に紹介するのは“5cコントロールだ。5c…と言っても愚直に均等に5色のパワーカードを入れたデッキというわけではない。ナヤカラーをベースに、青と黒は《レガシーの兵器》のための色となっている。《爆発的植生》をマナ安定とし、ランプかタップアウトコントロールといった様相のデッキである。

 

採用されているカードも一癖ありながらも強力なカードが揃っている。対ゴブリン用秘密兵器である《陶片のフェニックス》と優良火力《ボガーダンの鎚》はその潤沢なマナから使い回しが始まると止めることは難しい。

マナが伸びてしまうと旧枠モダンの《コラガンの命令》こと《荊景学院の戦闘魔道士》や旧枠モダンのバハムートこと《荒廃の巨人》といった制圧力のあるカードが次々と登場する。

 

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▲荒廃の巨人がバハムートである事に疑問を持つプレイヤーはいないだろう。「ニュートラルではないだろ」とか「ドラゴンではなく巨人だが」「小せぇwwwwww」といった揚げ足を取るプレイヤーはもっと物事の本質を見極める力を養っていただきたいものだ。

 

…「旧枠モダンの○○」といった冗談はさておき。

前回に引き続き、統計上コントロールデッキが最も使用者が多いという結果となった。

アーキタイプ自体はバラバラだが、白と赤が色の強さ的にずば抜けているという前評判通り、《稲妻》や《終止》などのピン除去を大量投入できる赤と、エンチャントで対戦相手の攻勢を封じ込める白のどちらかがベースになっているケースが殆どとなっている。

 

しかしながら、ここまで度々「コントロールにアグロを詰みに持ち込めるカードがある」「強力なパーツを数多く有している」と言われながらも第1回、第2回とアグロデッキに優勝を明け渡してしまっていることも留意すべき点だと思われる。

結局のところ今回もアグロ勢からゴブリンを1人トップ8から蹴落としただけであり、果たして旧枠モダンでコントロールを握るのは本当に正解と言えるのか、疑問を投げかけるべき時が来たのではないかと筆者は考えている。

 

 

・コンボデッキ

 

今回コンボと言えるデッキは、上で紹介したコントロール寄りの“ズアーの運命支配”“スクイーバインド”を除いて残り2種類。基本セット2019で再録された《市長の笏》を軸とした“エターナルグリーン”は本大会に姿を現すことは無かったが、密かに前回優勝者の綴った調整録が公表されているので、興味のあるプレイヤーは是非こちらも目を通してみてほしい。

 

old-flame-modern.hatenablog.jp

 

昨今のマジックではあまり見受けられない、怪しげなコンボデッキが登場しがちな旧枠モダンのコンボ界隈だが、今回も特徴的な新顔が登場していた。

 

実は旧枠モダンのカードプールに追加ターンが2種類も存在しているのはご存知だろうか? 「同じようなカードが2種類8枚あればデッキになる」というのは有名な話だが、追加ターンが8枚あると何かできるのだろうか?

できるのだ。ミラーリがあればね。

 

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その戦略は《吠えたける鉱山》を設置する所から始まる。《濃霧》と《疲労困憊》で時間を稼ぎながら《爆発的植生》などでマナを伸ばし、《時間のねじれ》《時間の伸長》でターンを得て鉱山のアドバンテージを享受。最終的には《ミラーリ》で大量の追加ターンを得てフィニッシャーの《秘教の処罰者》で殴り切るといったものだ。

 

ターボフォグとエターナルブルーを組み合わせたようなこの斬新なデッキは、暫定的にだが“エターナルバント”と名付けられている。残念ながら勝率は高くなかったようだが、旧枠モダン界隈を彩る新たな発想に敬意を表したい所である。

 

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▲ロマンである。

 

こうした新顔が現れる中、前回に引き続きメタゲームの一角として存在感を示しているのは、もはや旧枠モダン定番のコンボデッキとなった“青赤ワイルドファイア”だ。

本大会の使用者数は3人、使用率18.75%と完全なトップメタである。

《併合》で土地を奪い、《シヴのヘルカイト》等をフィニッシャーにした従来型の"アネックス・ワイルドファイア"と、《石の雨》等を採用し《猛烈に食うもの》をフィニッシャーとした"マグニボア・ワイルドファイア"の二種類が存在している。

 

ワイルドファイア系統のデッキは非常に高いパワーを持ち、そもそもマナ否定戦術が強い事もあって事前に相当意識されていたアーキタイプだった。

ロングゲームを行うデッキにはサイドに《聖なる場》など露骨なメタカードが入っていたり、《ヴェクの聖騎士》や+1/+1カウンターで強化された緑の面々のような、そもそも《燎原の火》で流されないようなクリーチャーが出てきたり、カウンターの入ったコントロールに弱かったりと環境的には逆風だったようで、勝率自体は高くはない。

 

もっとも、《燎原の火》が効きにくい緑系デッキの台頭はワイルドファイア側からもある程度予想はされていたようで、《氷の干渉器》やサイドの《冬眠》など対策自体は行われていたようだ。緑単ストンピィの使用率がもう少し高ければまた少し違った結果になったのかもしれない。

 

今回は噛み合い方が悪かったにせよ、ガードが下がった所に一泡吹かせるパワーは持っている。トップメタに恥じないポテンシャルは依然としてあると言えるだろう。

 

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・総評

 

さて、随分と長くなってしまったが、ここまで全16プレイヤーが使用した13種類のアーキタイプについて解説してきた。第2回GP秋葉原は前回の2倍の規模となっており、それだけに使用されたアーキタイプも数多い。どうしても解説が冗長になってしまう点についてはご容赦願いたい。

 

今回は旧枠モダンにおいて大きな進展があった。第1回GP秋葉原を通してトップメタが確立され、プレイヤー数が増えたことにより研究が盛んに行われるようになり、そしてSNSやブログでの考察を通してメタゲームが可視化されたことで、プレイヤーのフォーマットに対する理解度は大幅に高まり、環境も煮詰まってきた。

ゴブリンとワイルドファイアの使用者が増え、かつて全てのアーキタイプが均一だった使用率に少しずつ差が生じ始めたのがその確たる証拠と言えるだろう。

 

現在のトップメタはワイルドファイアとゴブリンの2種。Tier2はそれ以外といった所だろうか。優勝は緑単ストンピィ、準優勝は白単と、勝率が使用率に比例していない点も面白いところだ。依然としてデータとして見るには母数の小ささが気になるところだが、このフォーマットを紐解いていく上では重要な情報だ。

 

旧枠モダンプレイヤーならば承知の所だとは思うが、このフォーマットは対策カードが極めて幅広く強力なものが揃っている。ぱっと出てくるものだけでも防御円、《窒息》、《沸騰》、《野火》、《崇拝》、《ヴェクの聖騎士》、《紅蓮地獄》、《血染めの月》、《迫害》、《撲滅》、《木っ端みじん》、《一掃》、《鎮圧》、《塩まき》、《トーモッドの墓所》、《魔力のとげ》、《象牙の仮面》、《道化の帽子》…など、枚挙にいとまがない。

 

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前大会で“トロン”“リアニメイトが姿を消したように、このフォーマットにおいては対策される事がそのまま死に直結しかねない。故に、最初からいる前提で構築時点で対策が組み込まれていたゴブリンとワイルドファイアは風向きが悪く、まったく意識されていなかった緑単ストンピィと、そもそも対策しにくい上に様々なデッキをメタれる白単が大いに活躍したのだろう。

 

重ねて言うが、今は旧枠モダン黄金時代だ。

数々のプレイヤーが切磋琢磨し、新たなデッキを構築している。

研究チームもある程度の時期までは「なんやかんやでゴブリンが最強でしょ」等と言っていたものだが、今大会とそれに向けた調整の末に、むしろ旧枠モダンの底の深さを再認識する結果となった。

 

本大会で分かったことの一つは、筆者も含めて「旧枠モダンの事を分かったつもりでいたプレイヤーも、実際は何ひとつ分かっていなかった」という事だ。

筆者はこの大会結果が旧枠モダンの最終形だとは全く思っていないし、他のプレイヤーもきっと同じだろう。まだまだ考える余地も、試せる事もたくさんある。

 

旧枠モダン――このフォーマットは、まだ我々を飽きさせてはくれないようだ。

(元記事掲載日時:2018/07/09)

【資料】【旧枠モダン】メタゲームまとめ ~ゴブリン革命~

(本記事は狐の社・二社目閉鎖に伴い消滅してしまう記事を、管理人の許諾を得て全文を転載したものです。)

 

神は言われた。「ゴブリンあれ」。

こうして、ゴブリンがあった。

――創世記 1章

 

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 前回、GP秋葉原において新進気鋭の《ゴブリンの戦長》を擁する赤単ゴブリンが優勝し、更に《罠の橋》《物語の円》系コントロールが歴史の表舞台に姿を現した。

 

旧枠モダンのメタゲームはこの大会によって成立したと言ってもいい。

所謂、“ゴブリン革命”と呼ばれる出来事だ。プレイヤーたちはカジュアルフォーマットなりに勝つために真剣にデッキを構築していたが、それはあくまで情報がほぼ0に等しい所からできたものであって、ただ無垢に最強を目指した結果に過ぎない。この“ゴブリン革命”を通してプレイヤーの中でトップメタが確立され、仮想敵が生まれ、それを前提としてデッキが構築されるようになるわけだ。

 

ここではざっくりと、本当にざっくりとだが旧枠モダンのメタゲームを解説していきたい。

 

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 前大会で優勝を掻っ攫った赤単ゴブリンが最強のデッキ(プレイヤーの人数が少なすぎるのでTier1とは言いたくはないが…)と仮定しよう。では、ゴブリンに勝つにはどうすればいいのだろうか。

 

ゴブリンは前大会の時点で対策される事を想定した上でデッキを構築している。すっかり主流となった《モグの歩哨》や《モグの下働き》、そして1枚挿しの《ペンデルヘイヴン》は《弧状の稲妻》《紅蓮地獄》《雹の嵐》といった生半可な対策カードを乗り越える事ができる。

 

実際に対峙してみると、「成程、メタられた上でそれを掻い潜って勝ってきたんだな」という事が分かる陣容だ。勿論どれも《稲妻》には無力だが、貴重な1マナ3点を《モグの歩哨》に撃ちたくはない。処理すべきロードが後から次々と出てくる可能性があるのだから。そうして温存した結果、《ゴブリンの戦長》の速攻アタックを止めるために《稲妻》を撃ったが《モグの歩哨》が強化されてしまい結局打点が変わらなかった、という事もある。非常に厄介だ。

 

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1ターン目からクリーチャーを展開し、8枚のロードでバックアップし、環境最強火力も擁しており、更に対策カードまで対策しているゴブリンではあるが、結論から言ってしまえば、それを倒す方法は古来言い伝えられる赤殺しのやり方とさして代わり映えはしなかった。

すなわち、ライフゲインとタフネス4のブロッカーである。

 

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 《堅牢な防衛隊》の強さが知れ渡った点も、旧枠モダンにおける技術革命の一つだと言えよう。《セラの天使》も出されれば厄介だが、ゴブリンがトップメタであることを考えると4ゲインがついてくる《堅牢な防衛隊》に理があると言える。

白いデッキの新たなスタンダードが確立された瞬間である。

 

旧枠モダンにおける数少ないサイクリング持ちである《新たな信仰》は腐りにくく、デッキに投入しやすい点が評価されている。筆者もまさか旧枠モダンがメインから12ゲインされるフォーマットだとは思っていなかった。

 

ゴブリンを倒すために速度を一段階落として除去とバリューの高いクリーチャーで抑える中速デッキが流行ると、今度はそれを食いに行くデッキが流行るのは必然と言えよう。

速度が遅くなれば、前回のグランプリで頭角を顕したようなコントロールデッキが長期戦を仕掛けてくる。どれだけライフを整え、大きいクリーチャーを並べても《罠の橋》と十分なマナが出そろった後の《物語の円》《聖なるメサ》には無力であり、攻撃の手を緩めれば真綿で首を締められるようなゆっくりとした死が待っている。

 

個人的には置物対策としてメインから《エルフの抒情詩人》《エルフの潰し屋》《荊景学院の戦闘魔道士》を採用できるエルフにチャンスが回ってきたのではないかと思っているがそれが正しいか否かはまだ分からない。

 

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 極端に遅いデッキに対して、ゴブリンやバーンは《魔力のとげ》で更に対策できるものの、ミッドレンジ帯のデッキでは1枚1枚エンチャント破壊を合わせるしか対抗策が存在しないのも厳しい点だ。《帰化》や《解呪》を枚数入れたいがデッキの地力が落ちてしまう。対応したいカードがアーティファクトとエンチャントと分かれている点も対策のしにくさに拍車をかけている。カードとしては強いのだが、《天啓の光》などは範囲が狭いのが厳しい所だろう。

 

長期戦まで考えると《道化の帽子》などの滅茶苦茶なアンチカードが増えてくるのも問題だ。言ってしまえば「ミッドレンジという言葉が存在しない頃のカードでミッドレンジをしている」わけなのだから、逆風は仕方のないことだが…。

 

何にせよこの辺りから旧枠モダンというフォーマットがわけがわからなくなってくる。

 

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▲この辺りのカードを見ていると何が正しいサイドか分からず頭痛がしてくるのは筆者だけだろうか?

 

また、最近はランデス戦術もそうした中速以降のデッキに対して有効なプランだと評価されている。《石の雨》《なだれ乗り》《破砕》を擁する赤に、《涙の雨》《汚れ》の黒か《忍び寄るカビ》と《すき込み》がある緑を加えるのがいいだろう。

 

土地破壊をメインの戦術にしないデッキでも、《なだれ乗り》は強いだろうし、《忍び寄るカビ》《汚れ》はギリギリ採用圏内な空気がある。やはり今こそ《なだれ乗り》なのではないか?という議論も研究チーム内で起きたほどで、実際に《なだれ乗り》を《蘇生》と《永劫の輪廻》で使い回すデッキも現れ始めた。

 

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前大会の決勝戦でゴブリンと鎬を削った赤青のアネックス・ワイルドファイアも良い選択だと言えるだろう。いまいちカードが弱いと言われ続けていた青にもここでチャンスが生まれてくるわけだ。

 

だが、ランデスに向かっていくとまたしても「ゴブリンきつくね?」という課題が生まれる。コントロールランデスを狙う速度帯でメタゲームが一周する…かと思いきや実際は各色に大量の対策カードがあるため本質的にはここで一周していてもカード選択で有利不利が絶妙に変わったりともう滅茶苦茶なのである。

 

ここでもっともらしくメタゲームがどうだの有利不利がどうだのと話していても第1回GP秋葉原に参加した全員が次のGPT(ただの店舗大会)にはデッキを変更しており、新規も含めて既に16デッキ全てが別物であることが確認されている。実は我々は架空のゴブリンや架空の罠の橋と戦っていただけだったのか?という猜疑心に満ちた発言も散見され、第2回GP秋葉原本戦を前に情報が恐ろしいほどに錯綜している事が分かる。

 

ここで紹介したメタゲームも結局のところ流れの大筋をかいつまんで解説しただけであって、「罠の橋で詰まないバーンはどうだ」とか「メガハンデスは白いコントロールに有利取れる」だとか「《堅牢な防衛隊》を4積みしたら普通のデッキに普通にパワー負けした」だとか様々な言説と試行錯誤の痕がある事も追記しておこう。

もはや何が正しいか誰も分からない、さながら迷宮の様相である。

 

ちなみにランデスが環境を席捲しないように《聖なる場》というセーフティも存在していたりする。なんなんだこのフォーマット。

 

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 …というわけで、研究のしがいがあり過ぎて何も分からないフォーマットという雰囲気だが、GP秋葉原を通して全プレイヤーの中で共有された事実もある。

 

このフォーマットで強い色は赤と白の二色であるというものだ。

赤と白。この2色がとにかく強い。プレイアブルなカードが多いのは勿論、《稲妻》や《神の怒り》などの飛びぬけたパワーを持ったカードが複数あり、そのうえで白はサイドカードの殺意が半端ではない。赤は赤で一部のアグロ用パーツや火力が凄まじい威力を誇っている。

現状、赤と白を入れないでトーナメントレベルに達しているデッキはそう多くはない。単色デッキでもどちらかをタッチしてサイドボードを補強すべきと言われている。

 

もしかしたら、ここに環境を読み解く鍵があるのかもしれない。

 

第2回GP旧枠モダンまで1ヶ月を切ったが、ベテランプレイヤーを含め誰もが「旧枠モダンよくわかんねぇ…」と呟いているのが現状だ。最初の大会によってメタゲームが確立されたかと思いきやそれが更に新たな混乱と迷走を生んでいる感もあり、このフォーマットの奥深さを感じざるを得ない。

 

 

そんな奥深いフォーマット、旧枠モダンの次の大会は7/1の日曜日だ!

初心者も歓迎。旧枠モダン歴2年のベテランプレイヤーが優しく教えてくれるぞ。

この記事や、前回前々回の旧枠モダン記事で興味を持った新規プレイヤーは是非とも秋葉原に集まってほしい。一緒に旧枠モダンの奥深さを体感しよう!

 

twipla.jp

(元記事掲載日時:2018/06/12)

【資料】【旧枠モダン】Deck tech 白単コントロール

(本記事は狐の社・二社目閉鎖に伴い消滅してしまう記事を、管理人の許諾を得て全文を転載したものです。)

 

GP秋葉原のメタは再三言われるように混沌そのものであった。

 

各々が探求した“最強”を表現するこの舞台で、白系コントロールを選択した者はどれだけいただろう。推測されていたメタゲームから外れつつも、完封に近い形でメインゲームを取ることのできるパワーを持つ。そんな“原石”、白系コントロールを発掘できたものはどれだけいただろう。

 

 

その中でも特に奇抜なデッキを使用していたプレイヤーがいた。

 

柏の旧枠モダン研究チームの一人であるヒヅキが持ち込んだ白単コントロールと対峙した対戦相手は絶望の表情を浮かべていた。それを見た筆者は思わずそれをファインダーに収める。「絶対に勝てない」、その場にいた誰もが直接言いはしなかったが、そう心で感じることのできる凄惨な場が広がっていたのだった。

 

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▲クリーチャーのどれかが《罠の橋》と《物語の円》と《氷の干渉器》を抜けたとしても、3枚の《砂漠》と《鋸刃の矢》で瞬く間に撃ち落とされてしまうだろう。

 

「すごいデッキがあった」

「完封されてしまった」

「壮絶なサイドボードだった」

この白単コントロールは会場内でそんな断片的な情報と共に語られ、GP秋葉原が終わる頃にはほぼ全ての旧枠モダンプレイヤーが知る所となった。

 

同人フォーマットでありながらも大々的に行われ、小さくともひとつの大会として成立させようと奮闘するスタッフの尽力が功を奏し、GP秋葉原を境に旧枠モダンは人から人へと少しずつではあるが広がりを見せている。GP秋葉原に行くことができなかったプレイヤーと、これから旧枠モダンを始めようというプレイヤーのためにも、この場で“Deck tech”の名を借りてこの独創的なデッキを紹介するとしよう。

 

ヒヅキの「白単アーティファクトコントロール」/ 2018/4/15 GP秋葉原TOP8

土地 23

4 《近づきがたい監視塔/Forbidding Watchtower》

4 《砂漠/Desert》

15 《平地/Plains》

 

クリーチャー 5

2 《鋼のゴーレム/Steel Golem》

3 《宝捜し/Treasure Hunter》

 

エンチャント 6

2 《聖なるメサ/Sacred Mesa》

4 《物語の円/Story Circle》

 

呪文 8

4 《神の怒り/Wrath of God》

4 《今わの際/Last Breath》

 

アーティファクト 18

4 《精神石/Mind Stone》

2 《星のコンパス/Star Compass

2 《友なる石/Fellwar Stone》

4 《罠の橋/Ensnaring Bridge》

2 《氷の干渉器/Icy Manipulator》

4 《鋸刃の矢/Serrated Arrows》

 

サイドボード

4 《石臼/Millstone》

3 《道化の帽子/Jester's Cap》

3 《象牙の仮面/Ivory Mask》

2 《解呪/Disenchant》

2 《沈黙のオーラ/Aura of Silence》

1 《名誉の道行き/Honorable Passage》

 

 

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▲以上がこのデッキの全貌である。並外れたデッキではないだろうか。

 

旧枠モダンは絶妙なバランスで成り立っているフォーマットだ。

 

文句なしに強いカードが少なく、(一部の恵まれた部族デッキを除いて)色を少なくしたならば相応にデッキパワーを下げる必要が出てくる。強いデッキを組みたいならば安定性という一面をある程度諦める覚悟をもって色を増やさなければならない。

これはコントロールデッキにおいて顕著な傾向が見られる。理由としては、ロングゲーム上等の構築をするためタップインデュアルランドの採用ができ、比較的小さなリスクで多色化が可能な上、多色化する事によってデッキの穴を埋める事ができるからだ。ジェスカイコントロールなどがその良い例であろう。

 

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▲カード単体として見ると非常に弱いが、大変貴重な二色ランドなのである。

 

…といった事情もあり、コントロールデッキの色が増えたというケースはありふれたものであるが、調整の結果色が減ったという話はさほど聞かない。

このデッキはどういった経緯で白単色でコントロールをすることになったのだろうか。製作者であるヒヅキ氏へのインタビューを交えて解説していこうと思う。

 

――「…というわけで、インタビューを始めさせていただきます。白単でコントロールというのはかなり異質に思えますが、白単になった理由を教えていただきたいです

 

ヒヅキ「それは勿論、他の色が必要ないからだね」

 

――「青の打消しや黒の除去が無くともコントロールしきれる自信があった…という事でしょうか」

 

ヒヅキ「そう。最初は青白コントロール、というかミルストーリーから構築を始めたんだけど、除去は白のものも十分強いし、カウンターを切らないといけないカード自体が少ないんだよね。大体は通してもその後どうにかできる。ドローも《罠の橋》と相性が悪いし、調整していくうちに青は要らないなと」

 

このインタビューにおいてヒヅキは《罠の橋》《物語の円》《神の怒り》で多くのデッキは止めることができ、それ故に色を足すデメリットが目立つと言っている。相手のエンドに《聖なるメサ》や《物語の円》を全力で起動する際にも三色デッキだとペインランドから1点支払わなければならないだろうし、コントロール同型戦でドローを撃てばそれだけライブラリーアウトが近づいていく。《砂漠》を4枚採用できるのも多色デッキにはない利点だ。

 

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▲これらのカードは白単だからこそ、より力を発揮することができる。

 

 

 

――「かなり細かいシナジーや調整の痕が見られるデッキですよね。このデッキのシナジーについて語ってもらえませんか?

 

ヒヅキ「例えば《精神石》なんかのマナアーティファクトが8枚も入っているけど、これは《神の怒り》《鋸刃の矢》《氷の干渉器》の4マナ域へジャンプしつつ、《罠の橋》を機能させるために手札を使い切るのを早める事ができる」

 

――「なるほど。《精神石》以外の《星のコンパス》や《友なる石》はあまり強いカードに見えませんでしたが、そう考えると8枚採用も頷けますね。《宝捜し》の使用感はどうでしたか?」

 

ヒヅキ「良かったよ。このカードは強い。《宝捜し》が本当に輝くのはサイド後なんだ。見ての通り《道化の帽子》を使い回せるからね」

 

《宝捜し》で《鋸刃の矢》を使い回す動きはアグロデッキに対する強力な一手となり、また《精神石》でカードを引いたり、壊された《罠の橋》を貼りなおすこともできたりと、《宝捜し》は状況に応じた非常に柔軟な動きができる一枚だ。サイドボーディング後はその役割が一変し、《道化の帽子》連打によって相手のキーカードを抜いていく。この動きはコンボデッキ全般への対策になる上、勝ち手段を数枚のカードに頼るコントロールデッキに対しても有効だ。果たしてこのシナジーと《宝捜し》の強さに気付いたプレイヤーはどれだけいただろうか?

 

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▲旧枠モダンプレイヤーたちが感嘆した《宝捜し》。その発想はなかった。

 

――「《道化の帽子》を使い回す動きはかなり話題になっていましたよね」

 

ヒヅキ「まぁそれでもアネックスワイルドファイア相手に手札に最後の1枚の《シヴのヘルカイト》を持たれて負けたりしてたんだけどね」

 

――「それはまぁ、噛み合いですよね…。流石に《道化の帽子》を二度も三度も使われたら多くのデッキは黙ると思いますよ。さて、一見弱点の少なそうなデッキに見えますが、ヒヅキさんの考えるこのデッキの弱点はどのようなものですか?

 

ヒヅキ「今回のトップ8だとアネックスワイルドファイアはキツいかな。打消しがないしね。あとはクロックパーミッションがいるんだよね※?あれも駄目だ。《消えないこだま》や《石臼》みたいなカードも厳しいかな。これはサイドに《象牙の仮面》を取っているけど、《罠の橋》軸のデッキが意識されて今後コントロール側のプランがライブラリーアウトに寄ってくるとかなり嫌だね」

※《空飛ぶ男》《トゲ尾の雛》等を《巨大化》系スペルと《マナ漏出》などのカウンター、《ブーメラン》などで補佐する「グランビル」の事を指していると思われる。

 

――「今回優勝のゴブリンに対してはどう見ていますか?」

 

ヒヅキ「安定して勝てるわけじゃない。直前で《ゴブリンの戦長》が増えたのはかなり痛かったね。あれから《包囲攻撃の司令官》って流れは流石にキツイ。パワー1と2だしね。《今わの際》を4枚に増やしたから十分対応はできると思うけどね。サイド後の《魔力のとげ》もかなり痛いね」

 

――「なるほど、やはり強いと」

 

ヒヅキ「まぁ、頭一つ抜けてる印象だね。とはいえ今回でゴブリンが強いのは周知されたから強烈にメタられていくと思う。白単でもまだまだガードを上げる余地はあるよ。今回は採用しなかったけど、飛んでもいないし山渡りも効かないから《精油の壁》なんかはかなり安心できるだろうし。《ウルザの鎧》あたりの詰むカードもあるし」

 

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▲まだまだメタる余地はある。ゴブリンの存在感が強くなればこれらのカードも顔を出すだろう。

 

――「まだまだ構築も発展途上ということですね。今後メタゲームに対応した型が出てくるのが楽しみになりますね。では最後に今後の旧枠モダンのメタゲームについて更に詳しくお聞きしてもよろしいですか?

 

ヒヅキ「さっき言ったようにゴブリンが頭一つ抜けて強いからゴブリンvsコントロールの構図にはなると思うな。コントロールは対コントロールをどれだけ意識するかが重要になってくるはず。《罠の橋》にも《物語の円》にも引っかからない勝ち手段が必要だよね。ライブラリーアウトや《苛性タール》みたいなカードは強いかもしれないな」

 

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ヒヅキ「スペルも生物も強いものが限られている中、置物がめちゃくちゃ強いものが多いっていう旧枠モダンの特徴が今回周知されたと思う。置物対策はかなり重要視されることになるんじゃないかな。ただ《解呪》や《帰化》をメインに積むわけにもいかないから、ここがどうなるかだよね。《化膿》でもあれば違ったんだけど。ここにどう折り合いをつけるかが難しくて、面白い所でもあるね」

 

――「メインに置物対策を積むのが難しいというのが旧枠モダンの現状ですからね。まだまだ発展途上の旧枠モダンでは、メタゲームが確立されたここからが本番でしょうね。本日は貴重なお話をありがとうございました」

 

《罠の橋》と《物語の円》を携え、ゴブリンと共にメタゲームの先駆者となった白単コントロール。多くの旧枠モダンプレイヤーが賞賛したこのデッキは、狭い旧枠モダン界隈で無視できない存在になっていくだろう。

 

(元記事掲載日時:2018/04/30)

【資料】2018/4/15 GP秋葉原(旧枠モダン) メタゲームブレイクダウン

(本記事は狐の社・二社目閉鎖に伴い消滅してしまう記事を、管理人の許諾を得て全文を転載したものです。)

 

2018年4月15日。

ウィザーズ・オブ・ザ・コースト日本支社からほど近いとある会議室で、史上初の旧枠モダングランプリが開催された。

 

旧枠モダン。

モダンリーガルでかつ旧枠が存在するカードで対戦するというユニークなフォーマットであるが――ここで多くを書く必要もないだろうから、フォーマットのルールを理解している前提で話を進める。

初めての方はまず下記の「旧枠モダン案内」を参照してほしい。

 

old-flame-modern.hatenablog.jp


このフォーマットは非公式の同人フォーマットに他ならない。

 

インターネット上にはMTG関連の様々なサイトが存在するが、当然ながら未だ旧枠モダンに対応しているものは少ない。故に、この未開拓フォーマットを志すプレイヤーたちは皆一様に同じ事を考えただろう。「情報が不足している!」と。


各コミュニティでのゼロからの地道な研究と、噂話程度に流れる数少ない情報から構築されるデッキ。知識と経験により推測されるメタゲーム。どんなデッキが強いのか?どのカードが弱いのか?何も情報が無い。何もかもが手探りだった。
そうした暗闇の中、数多のプレイヤーが己の知略の全てを賭して生み出したデッキが、この記念すべき場で花開こうとしている。
筆者は断言する。彼らは“開拓者(パイオニア)”なのだ

 

では、彼ら開拓者たちがGP秋葉原という晴れ舞台でどのようなデッキを選択したか、本大会のメタゲームをデータという一面から見てみるとしよう。

 

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・全体の傾向

GP秋葉原のメタゲームを一言で表すならば“混沌”であろう。


見ての通りトップ8に同じデッキは1種類たりとも存在しない。使用率は全てのデッキが12.5%という、前代未聞のメタゲームが形成された。
図らずもこのGPは、全ての参加者が脳内で描く、思い思いの“最強”を表現する場となったのだ。


しかし、それでも全体の傾向というものは存在する。本大会トップ8のアーキタイプを大まかに分類してみると、アグロデッキが2種類、ミッドレンジデッキが1種類、コントロールデッキが3種類、コンボデッキが2種類となっている。ややコントロールが多い事に気付いただろうか?

環境に関する情報が圧倒的に足りない大会でコントロールデッキを握るというのは、一見無謀な挑戦のようにも見えるが、真意は如何なるものなのだろうか。

この先では更にこれらをアーキタイプごとに細かく分析していく。

 

 

・アグロ・デッキ

「メタゲームが固まる前の環境ではアグロを握るべきである。」とは有名な話であるが、旧枠モダン環境においてもそれは正しいという事が実績によって証明されている。


アグロデッキの王者、現在最高の使用率を誇る紛うことなきtier1“黒赤ゾンビ”は当然の如くその強さを見せつけており、トップ8進出率は脅威の100%を誇っている。
《アンデッドの王》《アンデッドの戦長》《不吉の月》という12ロード方式を取るこのデッキは非常に安定して高い打点を引き出す事ができ、《稲妻》と《火葬》といった優秀な火力も同時に採用できることが強みである。
《萎縮した卑劣漢》でナチュラルに墓地対策ができる点は《巧みな軍略》再録によって躍進したスレッショルドやフラッシュバック関連のカード、そしてリアニメイトにも強い。


黒赤ゾンビは初期からマイナーチェンジを繰り返しながら今なお残り続けているデッキでもあり、練り込みは十分だ。アドバンテージ獲得手段に乏しいという点以外隙のない極めてパワフルなデッキと言える。

参加者は仮想敵としてまずはゾンビを想定したに違いない。

 

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▲「蛆卑劣漢王戦長」とはゾンビのブン回りを指す有名なスラングである。

 


前評判においてアグロデッキはゾンビが一強であり、“緑単エルフ”“白ウィニーといった他のアグロはその陰に追いやられるだろうと噂されていたものだが、GP秋葉原が開催される約1週間前、突然の復活を遂げたとあるアグロデッキがあった。


その名も“赤単ゴブリン”
《モグの狂信者》《モグの下働き》《ゴブリンの群衆追い》といった高品質なゴブリンを《ゴブリンの王》で補助し、残るライフを《モグの狂信者》の起動型能力や《稲妻》《ゴブリンの手投げ弾》などの火力で削り取る、旧枠モダン制定当初から存在していた古き良きアーキタイプである。

 

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▲ゾンビと同じく、ゴブリンにも意外なほどに高品質なカードが揃っている。

 


安定した強さを持つが、どこか古臭さを感じさせる赤単ゴブリンには開拓すべきポイントが少なく、既に研究され尽くした上で最強になれないアーキタイプとして、昨今のプレイヤーには敬遠されがちであった。

そんなゴブリンに転機が訪れる。


過去のカードを使うフォーマットである旧枠モダンは、新セットのフルスポイラーが公式から発表された時点でそこに記載されている再録カードが使用可能となる。
彼らは新セットで新たな助っ人を仲間に引き入れていた。
旧枠モダン界隈を震撼させるほどのカード――スタンダードやモダンにも旋風を巻き起こすと噂される、あのカードがドミナリアに収録されていたのだ。


《ゴブリンの戦長》である。

全てのゴブリンに速攻を与え、コストを軽減する《ゴブリンの戦長》の再録によって、彼らは《ゴブリンの戦長》からの《包囲攻撃の司令官》という新たな勝利パターンを獲得したのだ!

 

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▲これがどれだけ強力な動きであるかは想像に難くない。

 


予感されるゴブリンの復活。それは机上の空論などではなく、歴とした事実であった。
赤単ゴブリンのトップ8進出率は驚異の100%。完璧と言ってもいいほどの戦績だ。全国10億人の赤単ファンよ、刮目せよ。今ここに、原初のアグロキングが完全なる復活を遂げたのだ。

 


・ミッドレンジ・デッキ
本大会においてミッドレンジはトップ8に1人しか残ることができなかったものの、それは一際インパクトのある布陣でこの合戦に臨んでいた。
一言で言い表すならば“オールスター”という表現が正しいだろうか。
GP旧枠モダントップ8唯一のミッドレンジデッキはご存知“ジャンドミッドレンジ”だ。
《渋面の溶岩使い》《獣群の呼び声》《包囲攻撃の司令官》《双頭のドラゴン》といった旧枠モダンにおけるパワーカードをこれでもかと詰め込んだ絵に書いた様なミッドレンジである。

注釈:旧枠モダンの理念を忠実に反映するならば“デアリガズ”と呼称すべきだろうが、今回は若年プレイヤーへの配慮を兼ねてアラーラの次元名およびタルキールの氏族名を3色の略称として使用することにする。


旧枠モダンにおいて多色地形はペインランド10種、友好色フェッチランド、タップインデュアルランド、《真鍮の都》、《反射池》、《宝石鉱山》しか存在せず、ミッドレンジ帯の三色デッキは常にマナベースの不安に悩まされるものだ。しかしながらジャンドは《極楽鳥》と《不屈の自然》を採用することでそれを解消し、強力なカードをスペースいっぱいに凝縮することを可能としている。

“緑系三色ミッドレンジ”の系譜に連なる比較的安定感のあるアーキタイプだ。

 

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▲《極楽鳥》→《獣群の呼び声》→《獣群の呼び声》フラッシュバックに泣かされたプレイヤーは数知れず。

 


赤と黒を交えたことによる除去の厚さも特筆すべき点だろう。
《稲妻》《終止》に加えて、旧枠モダン最強クリーチャーこと《怒りの天使アクローマ》や諸々のアーティファクトすら除去できる《虚空》までも採用。先程紹介した2種類のアグロを始めとした、所謂フェアデッキを大いに意識した構築となっている。

 

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▲赤黒は旧枠モダンにおける最強の除去を有している。

 


他のトップ8アーキタイプと比較するとシナジーに乏しい構築だが、パワーカードの群れはそんな些細な事を吹き飛ばせる力がある。そう、ジャンドもまたトップ8進出率100%を誇るアーキタイプである。もはやジャンドがミッドレンジの最高峰である点に疑問を抱く者はいないだろう。

 

統計ではアグロ〜ミッドレンジまでの速度帯のデッキ全てに《稲妻》が4枚投入されている。5枚目の《稲妻》としての《火葬》もわずかだが採用されていた。やはりと言うべきか《稲妻》のバリューは圧倒的であり、3点火力は殴れる速度帯のデッキには必須という事だろう。

 

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▲やはり稲妻は強かった。環境を定義する1枚であろう。

 


トップ8に残った強豪たちのデッキには《稲妻》と1:1交換されない《獣群の呼び声》や、タフネス4の《鋼のゴーレム》《稲妻の天使》が散見されている。
既に《稲妻》が環境にひしめき合っており、《稲妻》耐性を持たないクリーチャーを投入するにはリスクが付きまとうという点において強豪たちの意見は一致していたのだ。
《惑乱の死霊》といった一見強力なクリーチャーが意外にもその姿を見せないのは、まさにそういった点を天秤にかけて取捨選択した結果だと言えるだろう。

 


・コントロール・デッキ
コンボかアグロと予想されていた旧枠モダンのメタゲーム予測に真っ向からNoを突きつけるアーキタイプが彼らコントロール組だ。

コントロールと一括りにはしたものの、その実態は旧枠モダンの混迷極まる環境を示すかのように三者三様まったく異なる姿であった。

 

旧枠モダン制定初期において、万能全体除去《神の怒り》に加えて《マナ漏出》や《雲散霧消》などのカウンターを取り入れた青白コントロールはしばしば研究の対象に挙げられていたものだ。今回コントロール組の先鋒として紹介するアーキタイプはその流れを汲む“ジェスカイコントロールだ。

 

このデッキがジェスカイカラーである理由の一つは、タフネス4と攻防一体の警戒飛行速攻という優秀なアビリティが特徴の《稲妻の天使》であろう。
彼女は旧枠モダン最強クラスのスペックを持ちながらも合うデッキが無いと言われ続け、やや不遇な扱いを受けてきたものだが、ここに来て遂に上位陣に並び立つことができたようだ。


《物語の円》《テフェリーの濠》といったエンチャントで敵の攻勢を封じ、前述の《稲妻の天使》や《怒りの天使アクローマ》《聖なるメサ》でフィニッシュするその戦いぶりはただの受け身のコントロールとは一線を画している。

 

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▲どちらもアグロに対して制圧力を持つ。《物語の円》を加えれば堅牢無比な要塞と化すだろう。

 


このデッキの強みはサイド後にコントロール以外の別プランを取れる点だ。
サイド後に除去を減らし重めのカードを入れるデッキに対して《なだれ乗り》を加えることでダメージを稼ぎつつ手を遅らせ、火力呪文を合わせて早期にライフを削り切ることもできる柔軟なデッキなのだ。

《稲妻の天使》を使うならば攻めるデッキであるべきだが、完全に攻める構築にしてしまうとマナベースの弱さから事故率が高くなってしまう。このジレンマをプランの分化という手法で解決したデッキと言えるだろう。


この新鋭デッキもまたトップ8進出率100%という驚異的な戦績を挙げている。
相手によって手を変え品を変え、変幻自在の戦いを見せるジェスカイコントロールは旧枠モダンの新星となるに違いない。


コントロールデッキとして調整される際に、逆に色を減らしたデッキも存在する。
チーム柏のとある強豪プレイヤーが持ち込んだ一際目を引く特異なアーキタイプ――“白単コントロールはまさにその好例だ。
白いコントロールデッキの嗜み《物語の円》と《神の怒り》は勿論完備。《罠の橋》なども投入しアーティファクトシナジーを重視したこのデッキはトップ8の強豪たちも手放しで賞賛するほどの高い完成度を見せている。


この特異なアーキタイプには後ほど「Deck tech」の記事で特別な解説を加える予定だ。今言えることは、このデッキの使用者は確実に増えるだろうし、旧枠モダンをプレイする上で無視できない存在になっていくだろうという予測だけだ。
このデッキを持ち込んだのは8人もの参加者の中でたった1人。

勿論トップ8進出率は100%だ!

 

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▲旧枠モダンにおける“白の嗜み”がこれだ。

 


先の白単コントロールからも分かるように、予想が次々と裏切られるのがこの旧枠モダンというフォーマットだ。重コントロールは青という昨今の常識――というよりも固定観念だろうか。それを打ち砕くデッキはなにも白単コントロールだけではない。


トップ8進出率100%を誇る凶悪アーキタイプ、黎明期より調整を加え続けて今に至る“スクイーバインド”はナヤカラーのコンボ搭載型コントロールと言ったアーキタイプだ。
手札をランダムに捨ててダメージを与える《嵐の束縛》と、墓地から手札へ戻ることができる《ゴブリンの太守スクイー》を組み合わせることで除去手段とフィニッシャーを兼ねる事ができる。

 

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▲旧枠モダンが持つ“可能性”の一片。

 


これ自体は過去にも存在していたコンボだが、旧枠モダン特有のアレンジとして界隈における「プレインズウォーカー」とも言えるカードが採用されている。
旧枠モダン界のプレインズウォーカーとは一体なんなのだろうか?
その答えはこれだ。

 

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▲その勇姿をご覧あれ!

 

 

《愚鈍な自動人形》だ!
プラス能力でカウンターが乗り、マイナス能力でカードを1枚引く。なるほどプレインズウォーカーである。コミカルな見た目だからといって侮るなかれ。スクイーとの強力なシナジーを持つこのカードは《嵐の束縛》と同じくこのデッキのキーカードと断言できる。スクイーとの合わせ技で強力なアドバンテージカードとなる《ゴブリンの知識》も見逃せない1枚だ。


勿論アグロデッキに対する対策も完備されている。
自分から手札を捨てに行くこのデッキは《罠の橋》を強力に使う事ができ、《雹の嵐》は《サルタリーの僧侶》や《ヴェクの聖騎士》にも対応ができる。
《稲妻》で処理出来ない相手を想定した賢い選択と言えるだろう。
こういった特殊なアドバンテージ源と特異なフィニッシュ手段を採用したデッキが勝ち上がる事に旧枠モダンが持つ無限の可能性を感じざるを得ない。

 

統計的に見ると3つのコントロールデッキの内2つが《罠の橋》を4枚投入しており、サイドボードを含めれば3つ全てが《物語の円》を採用している。そして、《神の怒り》も枚数にばらつきさえあるものの3デッキ全てに採用されている。

 

この点は今大会の出場者の対アグロ意識の高さを象徴しており、情報が少ないながらも各々のプレイヤーが「ゾンビとゴブリンはいる!」という想定でデッキを構築した証だ。
また、この結果はっきりした点はもう一つ。旧枠モダンにおけるコントロールの真髄は白にあるという点だ。

 

 

・コンボ・デッキ
メタゲーム及びデッキ解析もようやく終わりを迎えようとしている。最後に分析するアーキタイプ“コンボ”だ。僅か1000枚にも満たない旧枠モダンのカードプールにおいてもコンボデッキといったものは存在する。

 

旧枠モダンとは懐古のフォーマットでもある。そのカードプールには古のコンボパーツが眠りについているのだ。それ故に旧枠モダンにおけるコンボデッキは過去存在したコンボをなぞる形となる。この名に懐かしさを覚えるプレイヤーも多いだろう。まず紹介するのは、神河+旧ラヴニカ期のスタンダードより“アネックス・ワイルドファイア”だ!

 

《併合》と《押収》によって対戦相手の土地を奪い、《燎原の火》をブッ放す。

単純な構造ながらその破壊力は尋常ではない。トップ8進出率は100%と、想定されていたメタゲームの外から予測不可能な一撃を撃ち込んだ形と言える。

《燎原の火》が決まりさえすれば低速デッキはリカバリー不可能――いや、はっきりと言ってしまえば即死に近い状況に追い込まれ、アグロデッキも盤面が無残にも流されトップデッキでの立て直しを強要されることとなる。奪った土地と前もって置いておいた《友なる石》と《精神石》のおかげでアネックス・ワイルドファイア側の被害は最小限というわけだ。《ブーメラン》《マナ漏出》に加えメインに投入された《紅蓮地獄》のために対応力も十分にあり、コントロール寄りのコンボといった印象のスクイーバインドとは対照的にコンボ寄りのコントロールといった様相だ。《罠の橋》の存在を見越し、アーティファクト破壊を兼ねる《破砕》を2枚デッキに組み込むビルダーのセンスも見逃せない。

注釈:スクイーバインドとアネックスワイルドファイアがコンボかコントロールかについては諸説あるだろうが、今回はコンボが決まった際の破壊力を基準にカテゴリー分けをしている。

 

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MTGには様々な攻め方があるが、土地を攻められて動けるデッキはそうはいない。

 

 

旧枠モダンにおけるこのデッキの最大の特徴はフィニッシャー選択だろう。

赤か青で《燎原の火》で流されないタフネス5を持つクリーチャーにはプレイアブルなカードが極めて少ない。悪くてデメリット能力持ち。良くてフレンチバニラがせいぜいだ。今回は《シヴ山のドラゴン》と《シヴのヘルカイト》という条件を満たすカードの中でも最も強力な2種を2枚ずつ散らして採用している。今後はこれがアネックス・ワイルドファイアの基本になっていくだろう。

 

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▲この2枚が大真面目にフィニッシャーとして採用される事に感動を覚えるファンも多いのでは?

 

 

さて。今紹介したアネックス・ワイルドファイアのコンボは事実上の即死でしかなく、相手を動けない状態にした後にフィニッシャーで数回攻撃する事で勝つアーキタイプである。最後に紹介するアーキタイプはそれとは対照的に、20点以上のダメージによる完全な即死を狙う特徴的なデッキである。

マスクス+インベイジョン期より、“再供給ファイア”がエントリーだ!

 

再供給ファイアは《不屈の自然》《爆発的植生》といったランドブースト系スペルを連打し、十分に基本土地が並んだところで《早摘み》によって土地をアンタップ。その後《再供給》から《早摘み》を使い回す事によって大量のマナを出し、《とどろく雷鳴》でフィニッシュするコンボデッキだ。

 

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▲旧枠モダンにはチェインコンボだって存在する。

 

 

基本土地が大量に並ぶ関係上、《部族の炎》や《俗世の相談》を強力に使うことができる上、破滅の刻で追加された《巧みな軍略》がデッキの強化に一役買っており、大量のライブラリー操作・ドローによって意外なほどの安定性を誇っている。

その代償として相手の攻勢を防ぐカードは少なくなってしまっているが、最低限相手の速度を削ぎ落とす事ができればコンボを決めて勝つことは容易だろう。

それを証明するかのようにトップ8進出率は驚異の100%を誇っている。新たなコンボデッキがこのGP秋葉原の場で花開いた瞬間ともいえる。

 

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▲マナベースの脆弱性が取り沙汰される中、これらのカードを上手く使える数少ないデッキだ。

 

 

以上のように、旧枠モダン環境においてもコンボデッキは確かに存在するが、前評判とはその内訳が異なっている点が着目すべきポイントだろう。

 

前評判では《根囲い》によってウルザランドを揃える事で《トリスケリオン》等の重量級クリーチャーを展開する緑系の“トロン”と、《蘇生》《ゾンビ化》によって《怒りの天使アクローマ》を釣り上げる白か黒を軸にした“リアニメイトが意識すべきコンボデッキと言われていた。

 

参加者の間でもそういった情報は共有されていたようで、殆どのデッキのサイドボードに《なだれ乗り》等の土地破壊や《帰化》のようなアーティファクト対策が複数枚採用されていたし、《トーモッドの墓所》や《地の封印》も数多く確認できた。

アニメイトは最大勢力と予想されていたゾンビの《萎縮した卑劣漢》に弱い点も敬遠された理由だろう。

 

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▲有名になり過ぎたが故に見送られたアーキタイプたち。

 

 

全ての参加者が意識的にサイドを割いている状態でこれらのデッキが勝てるかと言えば、答えはNOだろう。結局の所、トロンもリアニメイトも参加者に意識された時点で「勝つためのデッキ選択」からは外れてしまったのかもしれない。

アネックス・ワイルドファイアも再供給ファイアも上記2種と比較するとややマイナー所のコンボデッキではあるが、筆者はこれらこそが「勝つためのデッキ選択」に他ならないと確信している。

 

 

・総評

以上がGP秋葉原で存在感を見せたデッキたちだ。

どれも開拓者たちが己の知識を結集した珠玉の一作となっている。

 

総評としては、黒赤ゾンビと赤単ゴブリンを意識する所から構築が始まっていたと分析できる。フェアデッキ対策を強く意識したジャンドミッドレンジと、《罠の橋》《物語の円》を搭載したコントロール組がその最たる例だろう。そして、研究が進みメタられ始めたトロンとリアニメイトを敢えて外し、別軸からの決着を試みるコンボデッキ組がその隙を衝くという構図だ。トロンとリアニメイトがメタゲームから消え去った事により、《怒りの天使アクローマ》の使用率が大幅に低下したことも重要だ。

 

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▲旧枠モダン最強のクリーチャーだが、今回はあまり活躍が見られなかった。

 

 

また、白単コントロールを除いて全員が赤を含んだデッキである事も特筆すべき点だ。《稲妻》《包囲攻撃の司令官》《紅蓮地獄》といった受けの広いカードに加え、《終止》《稲妻の天使》などの強力な多色カードに富む赤は二色目三色目として選ぶにはベストな選択だったのだろう。

 

全てが手探りの現状の旧枠モダンにおいて、デッキ構築・選択における読み合いは勝敗を左右する大きなターニングポイントとなり得る。それもその筈で、言ってしまえば誰も何が強いデッキなのか未だに分かっていないのだ。

しかし、そうした現状も2018年4月15日にようやく終わりを告げる。このGP秋葉原の結果が今後の旧枠モダンにおける原点となるに違いないからだ。

 

果たして開拓者たちが切り開いた地平を歩むものが現れるのだろうか。

それはまだ、誰にも分からない。

 

 

 

   

▲旧枠モダン界隈を震撼させたゴブリンの戦長が再録されるドミナリアを買いましょう。神ゲーことダークソウルも予約しましょう。あとこの間ネウロ全巻買って読み返したんですけど異常に面白かったんでこれも買いましょう。重要です。

 

(元記事掲載日時:2018/04/17)

第5回GP旧枠モダン 簡易まとめ

どうも、お久しぶりです。前回は某氏をリスペクトした文体で投稿しましたが、必要以上に消耗するので今回は普通に書かせていただきます。

最近は旧枠モダンを解説した動画や様々な記事が投稿され、情報が多くなってまいりました。新規参入の際には何よりも情報が大事なので、いい傾向だと思います。

そして最近一番のニュースは《吸収》の再録が発表されたことですね!

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18年前の根暗カウンターが帰ってくる!

Twitterでもお祭りになっていましたね。スタンダードの話もしろ。

 

そんなこんなで、12月15日に開催されたGP旧枠モダン、GP神田須田町のレポートを始めていきましょう・・・と、言いたいのですがまず最初に何点かお詫びがあります。

 

私は30人を超える規模の大会を甘く見ていました。

 

4回戦でほぼ全勝縛り、ただし3-1の半分はオポ次第で抜けという強烈な運ゲーになってしまいました。しかもその上で1回戦目に不戦勝が発生する追加参加を認めてしまいました。これに関して明確にご意見を頂いたわけではないのですが、仮にもGP(ジーピー)を名乗る大会としては不適当でした。今回の事態を見て、次回開催は32名厳守の5回戦での開催を約束させていただきます。もしよろしければご参加ください。

前述の通り、今回は事前の告知より人数が増えています。参加者33名です。そしてメタゲームのデータは取れませんでした

また、事前に告知しておりました配信に関してもトラブルが多く、無事に最後まで通しでできたのは決勝戦のみとなってしまいました。

以上の点をお詫びさせていただきます。

 

さて、肝心の最終結果を発表させていただきます。

1位:青白コントロール(《霊感》型・スイス3位)

2位:赤白青ビートダウン(スーサイドトリコ・スイス1位)

3位:青赤テンポ(《溶岩の猟犬》型・スイス2位)

4位:赤緑《猛烈に食うもの》(スイス5位)

5位:青白コントロール(《集中》型・スイス4位)

6位:赤緑白スクイーバインド(《オークの司書》型・スイス8位)

7位:白黒赤エンチャントコントロール(デイガマンサー・スイス6位)

8位:赤緑白スクイーバインド(《聖なるメサ》型・スイス7位)

 

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メサの冬

今回はなんといっても《聖なるメサ》が大活躍でした!

ラヴニカのギルド以降の流れとしては

①《鋼胴の甲虫》を得た緑系ビートダウン(通称8Moa)が各地で話題になる。

②8Moaに対して役割を持てない《荊景学院の戦闘魔道士》が減る(使い手が乗り換えただけ説もある)

③まさかの茶単トロンが直前で優勝

④本戦はアーティファクト対策必要か・・・?

というものがありました。

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8Moa:序盤~中盤の制圧力が高く、色も赤緑、緑白のバリエーションがある。

 

ここで各デッキを紹介していきたいと思います。

 

青白コントロール(2名)

《神の怒り》を擁する環境で白系コントロールが組めないわけがない、と常に環境に存在しながらも苦戦を強いられてきた青白コントロールがついにその名を轟かせました!

神の怒りや一部のカウンターなどの固定スロットはあれど、実はプレイヤーによって中身に大きく差の出るアーキタイプです。今回の優勝デッキは隙を見せないことに全力を尽くすパーミッション型で、ドローソースに《霊感》が採用されているのが特徴です。

対してもう一方のデッキは《集中》《連絡》を採用して、ハンドアドバンテージを稼ぐタイプでした。真逆とも言えるアプローチではありますが、最終目的は共通していて、『《聖なるメサ》のための土地を確保し、圧倒する』というものです。今回は見られませんでしたが、《ズアーの運命支配》によるロックを目指すもの、《怒りの天使アクローマ》《祖神に選ばれし者》を採用したリアニメイト型などの派生もあります。

旧枠モダンは絆魂持ちの大型生物や、ローウィンで新登場(11年前)したプレインズウォーカーなどのお手軽フィニッシャーが存在しないために苦戦を強いられるマッチアップも少なくないですが、今回の結果によってデッキパワーが本物であることが証明されたと言えるでしょう。しかも、来月からは《吸収》が使えます

 

赤白青ビートダウン(スーサイドトリコ)

《稲妻の天使》は強いが他が臭い。天使に魅了されて一度は組むも、土地の痛さに耐えられずに諦めたプレイヤーは数知れず・・・そんなトリコビートダウンもまた刃を研ぎ終えていたようです。

ペインランド11枚という脅威の自傷マナベースからは、なんと《サルタリーの僧侶》が繰り出されます!従来のトリコビートダウンでは《翻弄する魔道士》や《天使の従者》が採用されていた枠ですがどちらも不採用です。マナベースの都合上、本体火力の多い赤には基本的に不利なものの、《ヴェクの聖騎士》など焼かれない生物を採用することで相性を緩和していると言えるでしょう。

非常に攻撃的なデッキではあるものの、《地震》(また自傷してる)による一方的なスイープがあり、1マナクリーチャーの不採用などからいわゆるアグロデッキではなく、ミッドレンジデッキであることが伺えます。3色すべてに脅威が存在するため、この手のデッキにありがちな《物語の円》1枚で負けるといった事態も構築段階でケアされています。

 

この2つのデッキによる決勝戦がこちらです!

(※音が出ます。音を配信するつもりはなかった)

(※垂れ流しです)

www.youtube.com

 

スクイーバインド(2名)

旧枠モダン黎明期から存在するアーキタイプです。幾度となく解説されているため詳細は省きますが、今回は大会全体で3名の使用者が見られ、細かい構成はバラバラでした。決勝まで進んだ2名は《罠の橋》を採用しており、片方は《聖なるメサ》や《物語の円》まで入れたコントロール、片方は《オークの司書》を採用したコンボ重視のものでした。もう1つのタイプはこのフォーマットの定番といえる《獣群の呼び声》を採用したビートダウンプランの取れるものでした。

 

青赤テンポ

モダン神挑戦者決定戦を翌日に控えた元モダン神の専用機です。

旧枠モダンのハゾレトこと《溶岩の猟犬》による電撃戦を得意としていますが、なにかとサイドアウトされることが多いようです。残念。

前述の猟犬と、青い強力火力の《心霊破》によって"4"を射程に入れた、旧枠モダンには珍しいデッキです。

 

赤緑《猛烈に食うもの》

筆者の今回のお気に入りです。

マグニボア・ワイルドファイアではお馴染みの《猛烈に食うもの》君ですが、デッキ内のソーサリーを多めにしないといけないことから専用デッキを組む必要があり、デッキ構成に丸みがなかったり速度が足りなかったりで敬遠されていました。赤緑8Moaの登場によって完全に忘れ去られる・・・かと思ったのですがそうでもなかったようです。

《猛烈に食うもの》はやはり専用に組まれたデッキでのサイズが非常に大きく、火力で更地にした盤面を《すき込み》で固めたのちにすばやくゲームを終わらせることができます。黎明期でよく使われた《根囲い》《獣群の呼び声》のパッケージをさらに活用できるのが魅力の1つです。

 

赤白黒エンチャントコントロール(デイガマンサー)

吉祥寺の旧モ廃人の相棒です。《オーラ術師》《グレイブディガー》の2体を軸に1:1交換を繰り返してアドバンテージを稼いでいくタイプのコントロールデッキです。消耗戦の果てに繰り出される《包囲攻撃の司令官》が強烈で、速やかな破滅をもたらします。《最下層民》は《革命家チョー=マノ》とのコンボは搭載してないものの、《よじれた嫌悪者》《骨の壁》などの再生持ちクリーチャーにエンチャントするだけで対応できなくなるデッキも多いでしょう。もちろん、非コンボでも除去を兼ねた濃霧の役割を持つことのできる強力なカードです。

普段見ないカードが採用されることに定評がある旧枠モダンのデッキの中でも特に異様なデッキなのではないでしょうか。感覚が麻痺しているのでもうよくわかりませんけど……

 

以上を持ちまして今回のレポートを終了させていただきます。

次回開催は2月中を予定しています。その次はたぶん3月です。詳細が決まり次第また告知させていただきますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。